中山道六拾九次「福島宿」【高瀬家】


「福島関所」の見学を終えたあと、となりの「高瀬家資料館」に移動しました。

 

歩いて1分足らずで到着です。

 

「福島関所」と同様に、観光客は誰一人居ません・・・


■高瀬家資料館

高瀬家は代々「福島関所」の関所番を勤めた家柄で、島崎藤村の姉、園の婚家としても知られています。

書画や藤村の手紙などが展示されています。

 


 

外壁にモルタルが塗られた長屋門を潜り抜け、中庭に入りました。

 

・長屋門:江戸時代の武家屋敷の表門として使われた、長屋と門が一体化した建築様式のこと

 

"失礼しま~す"

 

目の前にあるのは個人の家でした。

 

縁側には"受付はこちらです(部屋の中に人がいます)、ブザーを押してください(Please ring a buzzer)"の表示がありました。

 

・縁側:日本の伝統的な家屋で、部屋の外側(和室と庭の間)に設けられた板張りの通路や空間のこと

 

資料館はどこにあるんだろう?

 

キョロキョロと探しましたが、見当たりません。

 

人の気配もありません。

 

 

まさか、この個人の家が資料館なのか?

 

ブザーを鳴らすと、奥から返事が聞こえ、障子がすっと開き、和室から家の方が出てきてくれました。

 

高瀬家の子孫にあたる女性の方が館主でした。

 

"いらっしゃいませ。お時間はありますか?"との問いに、

 

"はい、時間はたっぷりとあります"

と答えると、

 

縁側で高瀬家の歴史について教えてくれました。

 

話しは江戸時代に遡り・・・

 

高瀬家は藤原氏の出で、菊池肥後守則澄が祖であるとのことです。

 

則澄より4代目にあたる高瀬四郎兵衛武浄が菊池家没落後、高瀬と姓を改め、慶長19年(1614年)の大坂冬の陣のころ、木曽に来たと言われています。

 

5代目から木曽代官山村氏の家臣となり、代々「福島関所」の関所番や鉄砲指南役、勘定役、御側役などを務めるほか、名薬・奇応丸の製造販売も行ってきました。

 

7代目が山村氏のお供で江戸に上った際に、奇応丸の製造法を習得、製造販売をするようになり、9代目の時に製造販売を広め、徳川家献上品となりました。

 

明治維新(慶応4年/明治元年(1868年))まで13代にわたって職務を世襲しました。

 

"文豪・島崎藤村はご存知ですか?"と質問され、

 

"国語の授業で習ったくらいです"と答えると、

 

1874年に島崎藤村のお姉さんの園が14代目当主の高瀬薫に嫁いだことを教えてもらいました。

 

と言うわけで、高瀬家と島崎藤村は深い繋がりがあるそうです。

 

教科書の中の歴史上の人物が、ここに繋がっているなんて!・・・何とも不思議な感覚です。

 

お姉さんが嫁いだことから、藤村は高瀬家に何度も訪れたそうです。

 

1898年に藤村は、ひと夏をここ高瀬家で過ごしました。

そして詩集「夏草」を執筆しました。

 

1910年には藤村の三男の翁助を高瀬家に預けに来ました。

妻の亡き後、4人の子の養育に困り果て、養育をお願いしたいと頼ってきたそうです。

翁助は1921年の3月まで高瀬家で養育されました。

 

そして1911年に小説「家」を出版しました。

 

"家は読まれたことありますか?"と質問され、

 

"いえ、読んだことがありません"と答えると、

 

高瀬家に滞在中に、当家をモデルに書いた作品だと教えてもらいました。

 

旧家の没落と崩壊の歴史をたどる自伝的長編であるとのことです。

 

小説の中に出てくる「橋本家」は「高瀬家」のことであり、登場人物の小泉三吉は藤村自身で、長姉お種は藤村の姉の園で、幸作は16代目当主の高瀬兼喜だそうです。

 

事細かに高瀬家のことが描かれており、当時の歴史家たちが史実や歴史的背景を確かめるために?この地を訪れたそうです。

 

そして1966年に「高瀬家資料館」が開館する運びとなりました。

 

 

■高瀬家資料館

 

・入場料:大人200円

・休館日:不定休

 

中庭を挟んで家の反対側、つまり入口にあった外壁にモルタルが塗られた長屋門の南側部分が資料館になっていました。

 

江戸時代の長屋門は、昭和2年の福島大火で惜しくも類焼してしまい、土蔵と庭の一部のみが残されました。

 

現在の長屋門は建て直されています。窓には鉄の扉を付けて火事に備えてあります。

 

蔵のような2階建ての資料館に入って説明を受けました。

 

大火を逃れ土蔵に残されていた代々伝わる兵法書類、江戸時代の木曽谷の諸資料、薬の製造に使用した道具類、島崎藤村に関わる資料や手紙・写真などが展示してあります。

 

マンツーマンで1つずつ丁寧に展示品を説明してくれました。

 

その後、入口のブザーが鳴って、日本人夫婦の2名が合流し、一緒に説明を受けました。

 

驚いたのはその後のこと・・・

 

更に入口のブザーが鳴って、欧米の男女2名の外国人が加わると、英語での解説が始まりました。

 

高瀬家のご子孫とはいえ、自分よりも遥かに年長者の方です。

 

英語で説明をする姿、来日して資料館に立ち寄って歴史を学ぶ姿、双方に深く感銘を受けました。

 

 

勉強して自分を磨き続けなければならない・・・と感じ取りました。

 

帰宅後、小説「家」を入手しました。

 

人生で初めて読む、島崎藤村の作品です。

 

今日が人生で一番若い日。

 

今から読んでも遅くはないよな・・・と自分に言い聞かせて・・・

 


旅のはじまりはモーターサイクル。

 

自由への扉をひらこう。