記憶にのこるワインディング 鞍掛峠


「鞍掛峠」は三重県と滋賀県の県境にある鈴鹿山脈に位置し、国道306号上に在る峠である。

 

三重県から滋賀県に抜ける主要なルート(下道)としては、次の4つが挙げられる。

 

北から順に、

①国道306号(鞍掛峠 標高640m)

②国道421号(石榑峠 標高690m)=八風街道

③国道477号(武平峠 標高820m)=鈴鹿スカイライン

④国道1号(鈴鹿峠 標高=357m

 

ライダー必携のツーリングマップルでは当然のことながら、③の鈴鹿スカイラインはピンク色の線で縁取られた"おすすめルート"になっている。

このルートは、大学時代に乗っていたRGV-Γから走り始め、現在でも時々走ることがある。

 

②の八風街道も"おすすめルート"になっている。

石榑峠は2011年3月に開通した石榑トンネルが出来上がる前から走っていた。

旧道の狭隘区間の入口には車幅制限のコンクリートブロックのゲートがあり、車幅が2mを越える車両や車重2トンを超える車両は進入が制限されていた。

宇賀渓キャンプ場や道の駅「奥永源寺 渓流の里」には何度かお世話になったことがある。

雰囲気のよい快走ルートである。

 

では、①の国道306号はどうか?

現在のツーリングマップルには"おすすめルート"の表示や道路に対するコメントは何も無い。

しかしながら、昔のツーリングマップルにはコメントが有り"山岳道路"や"切り立った斜面の豪快な道筋"と謳われていた。

 


■国道306号 鞍掛峠


過去を遡ると、2017年7月は三重県側から鞍掛トンネル入口まで走ることができだが、トンネル内は封鎖されており、滋賀県側は通行止めであった。

 

同年8月に再び訪れると、今度は三重県側の入口付近(ワインディングの起点部)にバリケードがあり、通行すらできなくなっていた。

 

2012年から2019年までは台風や災害による大規模な崩落によって大半の期間が通行止めになっていたようだ。

また、冬季通行止め(12月上旬~3月下旬)も実施されるため、なかなか走れるチャンスを得られずにいた。

 

その後、歳月は流れて、2019年5月には通行止めが解除されていたようだ。

 

再び、此の地に訪れたのは2024年の4月だった。

このときには通行止めが解除されており、全線が開通していた。

 

但し、滋賀県側では法面の改良工事が行われており、一部の区間が片側交互通行となっていた。

 

立て看板に記されているように、滋賀県側の"鞍掛トンネル~大君ヶ畑"の6km間は異常気象時通行規制区間に該当するようだ。

 

それにしても、この滋賀県側のワインディングはとても素晴らしいではないか!

 

道筋は豪快そのものだ! 

 

三重県側に比べると、滋賀県側はコーナー部分の道幅が広くカント(傾斜)も付いているので、ある程度ライン取りの自由度が得られる。

 

また、左右のコーナーリングのリズム感が心地よく、気持ち良く走ることができる。

 

見通しがきくコーナーやブラインドコーナー、

ヘアピンから複合コーナーまで様々なアール(曲線半径)が組み合わさっていることが、楽しめる要因の1つに違いない。

 

山岳ロードといえば、長野県や群馬県などの甲信越地方を思い浮かべるのだが、

まさか?お膝元の中部地区にこのような山岳ロードがあったとはお驚きだ!

 

切り立った法面の補強工事の跡がなんとも荒々しい!

 

谷も深く、よくぞこんなに立派な舗装道路を造ったもんだなぁ~と感心してしまう。 

 

このワインディングは上りも下りもどちらも楽しむことができる。

 

一部の区間に薄っすらとブラックマークの痕跡があったので、ひょっとしたら深夜に四輪がドリフトに来てるのかな?と思った。

 

確かに、四輪でも楽しめそうなコースだな・・・

 

注意点としては、早朝から登山客が路肩のエスケープゾーンに車を停めていたり、道路脇を歩いていることがある。

ブラインドコーナーでイン側に入りすぎるのは危険かも知れない。

また、自転車(ロードバイク)も走っているため、並走時のライン取りや速度差に配慮を求められるといえる。

さらには大型車両も通行するため、ここは国道であるということを認識する必要がある。

 


滋賀県側へ下っていくと「大君ヶ畑洞門」が見えてくる。

 

お多賀さん参りで有名な、イザナミ・イザナミノミコトを祀る「多賀大社」までの道のりもリズム感があって、なかなか楽しめるのだ。

 

「大君ヶ畑洞門」の手前で見つけた桜並木と記念撮影。

 

国道306号は交通量も疎らなので、花見をしながらゆったりとした時間を過ごすことができた。

 


■多賀大社


2025年4月は、高校時代の友人と走りに来た。

 

鞍掛峠は全線が開通しており、滋賀県側の工事も完了していたので通常走行が可能であった。

三重県側は登山客で賑わっていたので、滋賀県側に移動した。

 

何往復?楽しんだのかな。

高校生の頃から背中を追いかけ、追い続け、そして見えなくなる。

相変わらず速くて、惚れ惚れしてしまう。

高校を卒業してから30年以上の月日が流れたが、こうやって変わらずに走り続けられることが何よりの幸せだ。

 

この小さな幸せを感じ取りながら、スロットルを開け続ける。

 

バイク旅は楽しいなぁ~ 最高だなぁ~

 

その後、多賀大社まで足を延ばし、交通安全を願い、身を清め祈願した。

 

バイクは表参道絵馬通りの入口付近に駐車した。

料金は車が500円、バイクは200円也。

 

表参道絵馬通りの雰囲気は好きだなぁ。

 

ゴールデンウィークなのに疎らな人・・・混み過ぎていないのが丁度いい。

 


■せんなり亭 多賀別邸


滋賀県と言ったら、やっぱり近江牛。

 

お昼ご飯は優雅に旧家の庭付きの料亭で、近江牛のすき焼き御膳を戴いた。

 

変わったといえば、食事の時間を大切にするようになったことかな。

 

若い頃とは違い、余白時間を持つ余裕が出てきました。

 

俗に言う、おやじライダーになっちまったのか・・・